
三重県の南端にある丸山千枚田に行ってきた。
数ある棚田の中でも規模の大きさもさることながら、その傾斜と高度が圧巻でした。
それほど興味があった訳ではないが、山間の道を抜けてぱっと棚田が視界に入った瞬間、思わず「おおっ」と声が出た。
長老の話を聞くと、最盛期は2600枚あった水田は、後継者が少なくなり昭和40年代には激減し、数百枚まで数を減らして荒れたとの事。
800年の歴史を持つ棚田の火を消してはいけないと、行政などにも働きかけ、保存会を作り基金を募ってなんとか復活し始めたのが平成に入ってから。千枚田の名に嘘があってはと、千枚を目標に復活を果たしたと話してくれた。どの田から復活させるのかを決める際に、写真家や芸術家の意見を聞いて、景観の良さを考慮しながら決めたと聞いて少し以外だったが、感心した。
もはや生産のためでなく、見せるために田を耕す状態であるが、大きな駐車場があるわけでもみやげ物があるわけでもない。しかしトイレや遊歩道が整備されていて、見るのはタダでトイレも無料。そのあたりもとても感心させられた。
いわゆる「村」にどかどかとよそ者が入るのはどうかと躊躇していたが、ここは見に来て欲しい村なのだ。トイレ掃除をしていた老婆が、言った
「良く見にきてくださいました。ありがとう、また来てくださいね」と言う言葉に偽りはなく、喜びの言葉だった。